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単騎独考

私は錆びた鉈のように鈍く生き、よく使い切った歯磨き粉のチューブのように死にたい。

才能

出版企画A 社会時評 日々を生きる

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昼前からお昼過ぎまで実景の追撮。

 

数分、数カットの話なのだが、私に私は撮れないので、教え子に助けてもらう。

 

東屋での撮影。欲しい構図をうまく撮ってもらえずに苦労する。

 

カメラマンがいてくれたらと思うが、東京から呼び寄せる余裕はない。

 

撮影をしていたら観光客のおばさん二人組が話しながらお弁当を食べだした。

 

二人が去るのをじっと待つ、我慢の子。

 

するとスーツ姿の若い男性がやってきて、ベンチに座る。

 

長期戦を覚悟して、「何を売っているの?」と尋ねると「就職活動です」という。

 

地元の大企業に就職活動でこれから訪問するのだという。

 

「この藪の向こうにその企業の旧本社の敷地がある。そこに今、立派な研修施設がある。今、歩いて見に行ってきたらいいよ、面接の時、『この企業がどこからやってきて、どう発展したかを感じたくて、見に行きました。そしたら、立派な研修施設がありますね、人を大切にする企業だと思いました』と話せばきっと採用してくれるよ、そういう話方をする人はいないから」

 

と営業志望の青年にアドバイスすると、まだ、一時間ありますから、と本当に歩いて行った。

 

青年はそれからしばらくして、「本当に立派な研修施設がありました」と戻ってきた。

 

就職活動全般にアドバイスをした。

 

名を尋ねられたが、そのうち知られることになる、その時には、その週に、あなたは「私を知っている」と三度言うでしょう、その時に探してください、と、空前絶後のベストセラーの真似をして、それには答えなかった。

 

その青年の素直さは才能である。

 

こういう出会いを繰り返す、そんな主人公の物語を私は書きたい。