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単騎独考

私は錆びた鉈のように鈍く生き、よく使い切った歯磨き粉のチューブのように死にたい。

福建省

ドキュメンタリー編集メモ 日々を生きる 出版企画A ショートストーリー

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去年の三月十九日の深夜、この店でラーメンを食べた。

今年も。給仕をしてくれた女性に見覚えがあった。

名札にチンと書かれていた。

チンさん、去年もこの日、この時間、ここで働いていませんでした?

はい。

福建省出身でしたね。

彼女は不思議そうな顔をした。

後ろに別のお客さんが立ったので、釣りをもらい店を出た。

チンさんは再び忙しそうに働き出した。

彼女の一年はどんな一年だったのだろう。